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お祭りも命がけ!?パンプローナの牛追い祭り

パンプローナの牛追い 今年も「牛追い祭り」の季節がやって来ました。
スペインはもとより、世界中が熱狂する、言わずと知れた『命がけのお祭り』です。

開催地はスペインの北東、フランスとの国境にあるピレネー山脈にほど近いパンプローナという町。 人口19万人の静かな町が、祭りの開催中には世界中から人口の何倍もの観光客が押し寄せ、一気に熱狂と歓喜で埋め尽くされます。日本でもその映像は毎年テレビで取り上げられるので、見たことのある方は多いでしょう。

日本では「牛追い祭り」で知られているこのお祭り、正式には「サン・フェルミン」SanFerminといいます。今回は、サン・フェルミンの基本情報などに触れつつ、日本でもお馴染みの「牛追い」について楽しみ方のポイントも含め、より詳しくご紹介したいと思います。

サン・フェルミンの熱気溢れる9日間

サン・フェルミン、つまり聖フェルミンは開催地パンプローナの守護聖人です。
サン・フェルミンの当初の目的はこの守護聖人を祭るための宗教儀式でしたが、一地方都市の小さなお祭りにすぎなかったこのお祭り、ノーベル賞作家ヘミングウェイの小説「日はまた昇る」の舞台になった事も影響して、今では世界中から観光客が押し寄せる世界に名高い祭りの一つです。現在では牛追いと闘牛だけでなく、音楽やダンス、花火などを楽しむようになっていきました。

開催期間は毎年7月6日正午~7月14日深夜24時まで。
日本では人間と牛が駆け抜ける映像が主に流されますが、祭りはそれだけではありません。メインの「牛追い」は次項でたっぷりご案内するとして、ここでは全体のスケジュールを簡単にご紹介しましょう。
牛追い
まず初日の7月6日正午ちょうど、市庁舎のバルコニーから市長による開会宣言がなされ、ロケット花火が打ち上げられます。この市庁舎広場は翌日から牛が駆け抜けるコースにもなっていますが、この日は細い路地まで隙間なく人、人、人で埋め尽くされます。「パンプローナ市民たちよ!ビバ・サン・フェルミン!」と言う市長の声に、人々は地面を揺るがすほどの歓声で「ビバ!!!」
と答えます。ここから9日間の熱狂の祭典が始まるのです。

ハイライトの牛追いは7日~14日まで毎朝8時に行われます。
もちろんこれが一番盛り上がるのですが、朝は6時45分~夜12時過ぎまでほぼ丸1日何かしらのイベントが開催されています。聖フェルミンを称える歌を歌う前夜祭や、聖フェルミン像をサン・ロレンソ教会から運び出す聖行列など宗教的儀式から、闘牛や花火、ダンス、音楽パレードなど日本人にも分かりやすいイベントまで盛りだくさんです。
夜中まで騒いだ翌日も、目覚ましとばかりに早朝から音楽パレードを行うあたり、スペイン人のお祭り根性には脱帽ですね。
そして7月14日の最終日は、夜中12時に市庁舎前で閉会式が行われ、全員が祭りの終わりを惜しみながら、「ポブレ・デ・ミ」Pobre de miと歌を歌います。町の照明は消され、人々が手にしたろうそくと盛大な花火で照らされた広場が最も美しく輝く瞬間です。

牛追いとは?

牛追い 日本では「牛追い」と呼ばれていますが、面白い事に実際は牛を追いかけるのは安全上、禁止されています。牛追いの映像を見ると、なるほど、人々は牛に「追いかけられる」ようにして牛の前を走っていますね。

そもそも牛追いは本来、その日の午後の闘牛で使われる牛を闘牛場まで追い込むためで、それ自体が行事と認められたのは祭りが始まってから随分後の事です。牛追いの前夜、牛たちは各牧場から牛追いのスタート地点となる町の「囲い場」まで運ばれます。そして翌朝、そこから放たれ800mほど先の闘牛場目がけてひた走るのです。ですから、この行事はスペイン語では「エンシエロ」Encierro、つまり「囲いに入れること」と呼ばれています。
前述の通り、牛追いは毎朝8時に行われますが、その数分前、参加者はスタート地点の壁に埋め込まれた小さな聖フェルミン像に向かって、加護を祈りながら合唱します。

そして、8時ちょうど、ロケット花火の合図とともに牛追いが始まり、1日平均800人とも言われる参加者が、12頭の牛に追われるように駈け出します。全ての牛が走り終えるまで大体2~3分。意外とあっという間に終了ですが、毎日気質、性格の違う牛が登場するのでその日ごとに違ったドラマがあるのです。

もし勇気と度胸があれば、もちろん参加することも出来ます。18歳以上であれば国籍、性別不問。事前の登録なども不要で、開始30分前までにスタート地点にスタンバイすればいいだけです。しかし参加者は自身と他の参加者の安全のため、パンプローナ市が決めた心得と禁止事項を守らなければいけません。

牛追いの楽しみ方のポイント

牛追いコースは勾配、道幅、カーブなどによって、牛がより攻撃的になる危険性や参加者の避難しやすさなどが大体決められています。例えば幅狭の道では牛の速度が落ちるとか、カーブでは牛が集団からはぐれやすいので襲われやすいなど。短い距離ながら変化に富んだコースなので、細かく人と牛の動きを観察すると面白いものです。

また、参加者の服装にもご注目。
基本的に自由ですが、多くの人が上下白の服に、首元は赤いバンダナ、腰に赤い腰紐、手には丸めた新聞を持っています。
新聞は牛を誘導するための物、白と赤の服装は正装で、赤いバンダナは斬首に処された聖フェルミンの受難を思い出すため首に巻くと言われています。

ちなみに、このバンダナは開会式前までは手首、開会式後~閉会式までは首元に巻くことになっています。公式ではありませんが、最近は閉会式後にサン・ロレンソ教会の門前に置く流れがあるようです。

そして最後に付け加えておきたいのが、実は最もしっかり、はっきりと牛追い見学出来るのは「テレビ」だと言う事です。
毎年牛追いは国内でテレビ中継されます。
牛追いそのものは2~3分で終わりますが、開始前から何十分も番組は続きます。開始前、緊張した面持ちでスタンバイする参加者の中には時に日本人も含まれており、カメラも珍しい外国人参加者に向けられたりするので、現地の様子を楽しむことができるでしょう。

牛追い
また、牛追い終了後は、その日のハイライトや参加者の勇敢な、あるいは危険なシーンなどが再生され、牛追い参加歴何十年というベテラン解説者などが出てきて数分間熱く語りだしたりします。
パンプローナにいなくても、もし期間中スペイン旅行をされていれば、ぜひホテル出発前にテレビ中継で牛追いをお楽しみください。

ただし、現在まで牛追いによる14人の尊い命が失われている事、そして年々負傷者も増加している事を忘れてはいけません。昨年も若いスペイン人が命を落とし、日本でもニュースになりました。まさに文字通り命がけのお祭りなのです。

本場の熱狂を体感される方は、十分に貴重品と安全にお気をつけて。そうでない方も、このお祭りに少しでもご興味の湧いたら、まずはテレビを通して、ぜひサン・フェルミンの情熱をお楽しみください。


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