TOP > 特集 > イベロツアーの旅 > vol.14 カタルーニャの信仰の聖地、モンセラット
バルセロナから北西約60kmに位置するモンセラット。「のこぎり山」と呼ばれる奇岩群と「黒いマリア像」で有名な場所です。観光地として設備もかなり整っていますが、今でもカタルーニャ地方をはじめスペイン全土からたくさんの巡礼者が訪れるキリスト教の聖地とされています。その意味では、少なくともスペイン国内では、「巡礼の道」として世界的に有名なサンティアゴ・コンポステーラと並ぶ2大聖地と言えるかも知れません。ところが、バルセロナに見どころが多いこともあってか、モンセラット観光は団体でも個人でも訪れないこともあるようです。バルセロナでサグラダ・ファミリアやグエル公園などガウディの作品を見学するならば、モンセラットは見逃せません。なぜなら、ここはガウディの創造の源だからです。 「ガウディの建築を満喫するバルセロナの旅」の特集記事でも少し触れましたが、今回はモンセラットについてもう少し深く掘り下げてみようと思います。 |
|
モンセラット(Montserrat)はカタルーニャ語で「ギザギザな山」「のこぎり山」という意味です。しかしその様な尖った荒々しい様子がもっとしっくり当てはまるのは、「のこぎりでザックザック切った山の様だ」とよく形容されるイタリアのドロミテ山群かも知れません。モンセラットの山はややピンク色がかった肌色に近い堆積岩で造られていて、モコモコと飛び出る奇岩は「のこぎり」というよりは、「押し寄せる雲」と言うイメージです。聖地として包み込むような優しさを持ちながら、厳粛で神秘的な空気を感じる山です。 通常見学するところは修道院周辺ですが、この奇岩群はこの辺り一帯に広がっています。ですからバルセロナ市内から鉄道、もしくはバスで訪れる際、途中からだんだんと奇岩の姿が近づいてきます。アルプスの山を見に来た訳でもないのに、港町バルセロナから少し足を延ばしただけでこんな面白い山が見えるものか、とその意外性に驚くことでしょう。 |
|
|
もし時間があれば、ぜひケーブルカーに乗って、サン・ジュアン展望台まで上ってみてください。修道院と奇岩を眼下におさめ、写真スポット満載の絶好の景色を眺めることができます。また、天気の良い日には気持ちのいいハイキングも楽しめます。
| |
|
モンセラット奇岩群の絶景には息をのむものがありますが、前述したように、ここは「信仰の聖地」というもう一つ重要な顔を持ち合わせています。 標高1235mの山の中腹に建つベネディクト会の修道院。この修道院付属の大聖堂に信仰のシンボルとされる「黒いマリア像」が置かれており、これがモンセラット見学のもう一つの見どころです。 大聖堂の創設は9世紀。その後11世紀には増設され、15世紀の初め頃にローマ教会から離れてベネディクト派の聖地として発展してきました。ラファエロやミケランジェロなどイタリア・ルネサンスの巨匠たちをサポートしていたジュリアーノ・デッラ・ロヴェーレ(後のローマ教皇ユリウス2世)は枢機卿時代にここモンセラットの大修道院長を務めていたようです。 |
| |
|
修道院の豊かな財産、修道士たちの学識、新しい建築様式の導入、後を絶たない熱心な巡礼者たち…当時は大きな権力を有していたと想像できます。しかし19世紀初めに、ナポレオン率いるフランス軍の侵略で大聖堂は破壊されてしまい、その後再建はされたものの、現在残る12使徒のファサードや建物全体は19世紀から20世紀にかけての比較的新しいものになります。 一方で聖堂内にある「黒いマリア像」は、伝説ではかなり古い歴史を持ちます。その昔、山の洞窟で羊飼いたちが発見し麓まで降ろそうとしたところ動かなかったので、その場に聖堂を建てた、8世紀のイスラム教徒侵略の時は隠されていた、と言い伝えられているのです。ただ実際のところは、黒くなったのは祭壇にあるろうそくのススが着いたのだとされていて、12世紀頃彫られたものと推定されています。とはいえ、カタルーニャの信仰のシンボルである事には変わらず、今でもこの像に触れるために行列ができるほどです。約1mの小さな像ですが指先まで真っ黒な姿には、圧倒されます。観光客も触ることができますので、せっかくですから列に多少並んででも触れてみてください。 | ||
![]() |
モンセラットはよく「カタルーニャ人の心の故郷」とか「宗教と文化の拠点」とか言われます。 なぜかと言うと、今は亡き独裁者フランコの時代、カタルーニャ語の使用が禁止されていた時に、ここでは変わらずカタルーニャ語のミサが行われていたからです。カタルーニャの自由と団結を唱えた者の中には、ピカソやガウディ、ダリ、ミロなど多くの著名な芸術家たちがいますが、このモンセラットもカタルーニャ文化の「砦」としての役割を果たしていました。 比較的新しい聖堂の建物自体に考古学的な価値はあまりなくても、そういったカタルーニャ人の思いを感じながら見学すると、奇岩群の絶景のみならす、大聖堂観光にも感動を覚えます。 山の中腹にあるモンセラットですが、設備は思いのほか充実しています。ホテルやレストラン、観光案内所、カフェテリア、みやげ物店など並んでおり、観光後ものんびり過ごせます。ガウディ発想の原点、奇岩群の絶景、黒いマリア像…訪問の目的は様々でしょうが、バルセロナから半日で十分楽しめる場所ですので、ぜひモンセラットに足を運び、カタルーニャ魂を体感してみてください。 |

城壁の街 アビラ
vol.2 残酷王と呼ばれたペドロ1世の城/カルモナのパラドール
(c) 2008 Ibero JAPAN - All Rights Reserved.