陽光と塔がカディスの町を見守る

カディスの旧市街には、石畳の細い路地が町を縫うように広がっています。
家々が隙間なく立ち並んでいるため、道がとても細いので直射日光が差し込まず、路地が薄暗いかと思いきや、不思議と明るいのです。

空を見上げると、ほかのアンダルシアの町とは少し違った町並みに気が付くでしょう。
各家々にはたいていバルコニーがついていて、ほとんどの窓枠は白く塗られています。そしてそのバルコニーすべて覆うようにガラスがはめられています。
このガラスと白い窓の影響で光が反射し、狭い通りの奥までも明るい光が差し込むのです。
これらの歴史的建物は、カディスが国際的貿易都市であった時代、裕福だったアイルランド人商人たちが望郷の思いをこめて作り上げたのだそうです。
バルコニーを眺めるたび、伝統的なアンダルシア家屋とアイルランド家屋の見事なハーモニーに感動を覚えます。

歴史的な建物のもう一つの特徴は、黄土色の石材が多く使われていることでしょう。これは、オスティオネラ石という石灰岩の一種で、海底の砂が堆積してできたものです。その為、よくよく壁を見てみると、古代の貝殻が顔をのぞかせていることに気が付きます。

旧市街の主な見どころは大聖堂です。
100年以上かけて1838年に完成しました。その為バロック様式と新古典様式が混ざったユニークな形となっています。世界的貿易港としてふさわしい大聖堂を、という当時の人々の願いどおり、近くからも、海からもその立派な姿を望むことができます。カディスが誇る美しい海岸線を歩くと、黄金色の丸屋根を冠した大聖堂がいっそう際立って見えることでしょう。その他、スペイン初の憲法が発布された舞台であるサン・フェリペ教会や、紀元前からの歴史が綴られたカディス博物館など、町には見どころが豊富にあります。

時間に余裕がある方にお勧めしたいスポットは、町の中心にあるタビラの塔です。
階段を上に上にと進むと、カメラ・オブスクラの部屋に到着します。これはピンポールカメラのようなもので、暗い部屋とレンズを設け、外の世界のパノラマが部屋の中心に置かれた白い画面に映し出される仕掛けです。係りの人が木の棒で板の上に移された町並みを次々と指さしていき、町の説明をしますが、歩いている人や干してある洗濯物が生き生きとして見えるため、スペイン語がわからなくても非常に面白く見学できます。塔の頂上からは見事なカディスの町並みが。目を凝らすと屋上部分に塔がついている家の多さに気が付きます。これは大航海時代、商人たちが自分の所有する船の動向を見守るために作られたそうです。様々な形をした塔が無数に立ち並ぶ様子が見られますので、写真撮影にも絶好の建物の一つでしょう。

カディスの旧市街は非常にこじんまりとしており、10分ほど歩けば、どこかしらの広場や海岸沿いに出合います。そして必ずといっていいほどバルやカフェテリアがあるので、一休憩にはもってこいです。また、町には観光局が定めたテーマごとに分けられた4つの観光ルートがあり、道にラインが引かれていますので、それをたどっていけば迷うことなく観光名所に辿り着けます。ヨーロッパ有数の港町を誇った土地らしく、初めて訪れる観光客にも門戸を大きく開けている、そんな印象を受ける町です。

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